無体の生産手段

  この間,5月21日のzoom会議(研究会内のタスクフォース「労働」の立ち上げ協議)に向け,自分ならどういうテーマで報告,執筆するか考えてみたが,甘利まとまったことは言えなかった。

 ただ,その過程で,間接労働の発生から始めるのが良いだろうと思い至った。

 山口重克『経済原論講義』では,無体の生産物のうちのPm,すなわち「無体の生産手段」として,運輸効果,保管効果,通信効果,調整効果,労働補助効果を挙げている。「生産物」ないし「生産手段」と捉えられているのは,ある物の生産過程に必要な投入物のうち,労働力ないし直接生産労働以外を生産手段として捉えているからであろう。

 もちろん,それらを労働の産物,無体物だから「効果」として捉えるることも出来るであろうが,生産過程の労働力ないし労働を直接生産労働に限定しなければならない謂れはなく,それら諸効果を「労働」として捉えることも可能であろう。

 そして,そのうち,通信効果,調整効果,労働補助効果は労働としてみれば,間接労働,いわゆるホワイトカラー的労働である。

 生産過程の構成要素に間接労働(の産物)を認めるということは,資本主義経済に限定せず,間接労働が普遍的に成立することを認めることになる。

 そのうち,特に調整効果は経験,知識の蓄積が重要であり,習熟の必要性を認めることにもなる。

 また,生産過程が様々な種類の労働力からなるということはその配置や管理,すなわち管理的労働の必要を認めることになる。

 と言うようなことを漠然と考えている。
 手を挙げたメンバーが少なく,単独での成立が危ぶまれていたTF「労働」は協議の結果,メンバーの追加・リクルートに勤めつつ,差し当たり独立のチームとして活動を始めることになった。


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