振り返ってみる・その3

  9月末に投稿した学会報告・本文は,9月初めの原稿をさらに利潤(率)概念に絞った構成になっている。

 つまり,

  1. 小幡氏のいう「一般的利潤率の規制力」論は,機構論・競争論における利潤概念の価値論的規定,「価格の価値化」に立脚している。しかし,価値タームでの利潤(率)概念は小幡氏に止まらず,広汎に認められる。
  2.  利潤概念の価値規定は,『資本論』や宇野にも認められるが,問題は,価値と価格の「次元の相違」論が唱えられて以降も,利潤概念が価値タームで規定されていることである。その背景には「次元の相違」論の前倒し,確定性論の費用計上基準への適用など生産論における価値と価格の混交が,競争論の前に生産論において,小幡拳論の前に山口原論において生じていたことにある。
  3. その弊害は,宇野派の資本過剰説が,資本過剰の発生を生産過程由来の,賃金上昇のみから説かれるという「単因論」として現れている。


コメント